「好きなこと」=「向いている仕事」とは限らない
「あなたの好きなことは何ですか?」 「ゲームが好きです。だから、ゲーム業界で働きたいです。」
これは、一見すると自然な流れに見えます。 しかし、「ゲームをプレイすること(消費者)」と「ゲームを創ること(生産者)」とでは、求められるスキルやマインドセットが全く異なります。
「好き」という感情は、仕事選びの重要なきっかけになりますが、それだけで「適職」を判断するのは危険です。
本当に「向いている仕事」を見つけるためには、以下の3つのステップで、自分自身を多角的に分析する必要があります。
ステップ1:「得意なこと(Can)」を洗い出す
まず、あなたが「好き・嫌い」に関わらず、他の人よりも「うまくできてしまうこと」「あまり苦労せずにこなせること」を客観的に洗い出します。
- 過去の成功体験を振り返る:なぜ、それは上手くいったのか?あなたのどんな「能力」が貢献しましたか?
- (例)グループ研究で、複雑な情報を整理し、分かりやすい資料を作って発表を成功させた。→ 情報整理能力、構造化能力
- 他人からの評価を参考にする:友人や家族から「〇〇が得意だよね」と言われることは何ですか?
- (例)「人の相談に乗るのが上手いよね」→ 傾聴力、共感力
ステップ2:「やりたいこと・好きなこと(Will)」の「なぜ?」を深掘りする
次に、あなたが「好き」だと感じるものについて、「なぜ、それが好きなのか?」という「理由」を徹底的に深掘りします。
- 例:「ゲームが好き」
- なぜ? → 攻略法を考え、試行錯誤しながら、難しいボスを倒す瞬間に達成感を感じるから。
- 抽出される価値観 → 「戦略的思考」「課題解決」「目標達成」
- 例:「旅行が好き」
- なぜ? → 現地の歴史や文化を学び、自分の知らない世界に触れることに興奮するから。
- 抽出される価値観 → 「知的好奇心」「探究心」「多様な価値観への寛容性」
このように、「好きなこと」の「背景にある動機」を探ることで、それは単なる趣味から、あなたの「仕事における価値観」へと昇華されます。
ステップ3:「得意(Can)」と「好きの源泉(Will)」の交差点を探す
最後に、ステップ1で洗い出した「得意なこと」と、ステップ2で深掘りした「好きなことの源泉(価値観)」の、両方が重なり合う領域を探します。
例
- 得意なこと(Can):情報整理能力、構造化能力
- 好きなことの源泉(Will):戦略的思考、課題解決、目標達成
→ 交差点から見える「向いている仕事」の可能性
- コンサルタント:クライアント企業の複雑な課題を整理・分析し、解決策という戦略を提示する仕事。
- マーケティング:市場データを分析し、目標(売上)を達成するための戦略を立案・実行する仕事。
- 事業企画:自社のリソースを分析し、新規事業という目標を達成するための戦略を描く仕事。
このように、2つの要素を掛け合わせることで、「ゲームが好きだからゲーム業界」という短絡的な思考から脱却し、より本質的なレベルで、あなたの能力と価値観が活かせる「仕事の選択肢」が、業界を横断して見えてきます。
まとめ
「向いている仕事」とは、最初から一つに決まっているものではありません。
- 自分の「得意」を知り、
- 自分の「好き」の源泉を理解し、
- その両方が活かせる場所を探す。
このプロセスを通して、あなた自身が「これこそが、自分の適職だ」と、心から納得できるキャリアの方向性を見つけ出すことができるのです。
焦らず、じっくりと自分と向き合う時間を取り、あなただけの「天職」の輪郭を描いてみてください。